ハローワークまっぷ

天職と就職活動

天職

天職というのは、もしかしたら死語になっているのかもしれません。1960年代からの高度成長、稼げばいいのだという、日本だけではなく世界に行きわたったマネーゲームの流れと風潮。そして仕事に求めるものは、できるだけ多くの収入と拘束時間の短さだけで、仕事そのものの価値など考える人は、皆無ではないにしろ少数になってしまったように思います。
芸術家の中には、自分の仕事こそが崇高、至高の極みとして、自己の意思通りに行動することこそが個性の発揮であって芸術なのだという人もいます。芸術が個性の発揮なのだとすり替わって100年やそこらの歴史しかなく、それまで芸術は個性の発揮などではなく、社会や文化の高みにあるもので、今日でもその価値は変わっていないでしょう。
勿論、職人や芸能家として家業や歴史や伝統を守る人も、少なくなりましたが残っています。自分の今やっている仕事は、やっているのではなく、させてもらっていると思う人もいるでしょう。そういう人にとっては、自分の仕事は天職であって、そもそもハローワークとか就職活動などには用があることは、まずないでしょう。

仕事とお金

普通のサラリーマンの家庭に生まれ、普通に大学に進み、さあ新卒として就職活動をすることになった時、自分が「やりたい!」と強く思える仕事がないことに気が付く人も多いでしょう。やりたいわけじゃないけれど、働かないわけにはいかないから働くのだ。金を稼ぐことだけが仕事である、と。
高度経済成長、バブルまでは、それでも会社の発展と自分たちの物質的な豊かさの増大がリンクしていましたから、それはそれで幸せだと思える人も多かったのでしょう。
また最近では特に、仕事は金を稼ぐための我慢、忍耐の時間で、自分の幸せや楽しみは仕事以外で追及するというライフスタイルも多くなってきたように思いますし、むしろそれが当たり前のように思われているでしょう。
経済成長を支えた団塊の世代達は、「最近の若い者は・・・」と嘆きます。しかし、仕事はお金を稼ぐためだけのものではなかったはずです。戦後の経済復興と発展の中で、あるいはさらなるマネーゲームの中で、会社で稼ぐこと、会社を発展させること、金を増やし支配することが正義であった時代は、1960年から1990年まで、たった30年にすぎません。団塊の世代より、さらに前の世代はきっと言っていたでしょう。「最近の若い奴は、仕事を金を稼ぐためだけの手段にしやがった。」と。
管理人は、それでも日本の経済発展に尽力した世代を否定するつもりも攻撃するつもりもありません。もっと前の世代は、銃を持ち、武器を持ち、人を殺していますが、それも責めるべきことではないと思っています。同様に、ビジネス戦士として世界で戦った世代を、今の管理人がどうこういうことはできないでしょう。
しかし、否定も攻撃もしなくても、そういう生き方をしたいか、するかは、それぞれの選択の自由です。

新卒の仕事選び

少ない拘束時間で、効率よく収入を得ることができる会社を選び、プライベートを充実させる仕事を選ぶ。それはそれでありかもしれません。ただ人生の多くの時間が楽しみではない忍耐、我慢の時間だとしたら、それはそれしか選択の余地がなければ、やり抜くのことも大事ですが、最初からそうであっていいのだろうかと思います。会社をリストラされた中高年のオジサンが、やりたくない仕事でも家族や家のために耐えるのは立派だと思います。あるいは左遷されても、様々事情でそこで踏みとどまり、結果として我慢の時間だったというのもありでしょう。でも新卒なら、もう少し他の可能性を追いかけるチャンスはあると思います。

将来に不安のない会社を選ぶ、それもありかもしれません、しかし、今、未来にまったく不安のない会社や企業、業界なんてあるのでしょうか?20Cを代表するような世界的な会社でも、ダメになるときは、ダメになるんです。造船業界がいい、鉄鋼業界がいい、不動産業界がいい、証券業界がいい。その時代、その時期に、もてはやされて注目された業界がありますが、22才で就職して65才定年。40年変わらずに景気のいい業界なんてありえないでしょう。

好きなこと得意なことを 誰かのために 何かのために

新卒として、就職活動をできるのは、一生に一度です。
天職と言えるものを、早い時期にしっかりみつけている人はいいでしょう。
でも時期が来て、もしかしたら、初めて人生の選択の重みに直面している人も多いのかもしれません。高校も、大学も、親や学校の勧めなどが選択の理由であれば、初めて自分の意志で大きなことを選べる機会なのかもしれません。
仕事は、金を稼ぐ手段であるという一面は否定しません。それだけでいいのなら、それでもいいでしょう。選ぶのは自分自身ですから。
けれど、好きなこと得意なことを 誰かのために 何かのためにという仕事を選ぶことができるかもしれないのも、事実です。
違法な労働条件でないかをチェックすることは大事なことですが、給与や待遇などの条件だけで仕事は選ばないほうがいいでしょう。

しかし、パソコンでゲームをするのが好きだから、コンピューターのソフトウェアの会社に就職したいなどというのは、もしそれだけならやめたほうがいいでしょう。管理人の経験から言えば、プログラミングや、シカケを考える、あるいは作ることが好きだということでなければ、続かないでしょう。通用して成長できる人は、学生の段階で、言語の2つ3つ操れます。自分が本当は何が好きなのかは、よく考えたほうがいいと思います。