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労働条件の変更

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労働契約の変更には合意が必要

会社や企業、事業所などで働くこと、労働も、雇用主(使用者)と従業員(労働者)との契約です。契約は強制的に行われることはなく、合意していることが前提になりますが、労働契約も、使用者と労働者の合意があることが必要です。
就職する時、労働条件が提示され、納得して就職すれば、労働者は理解して合意したものとみなされます。
ハローワークで求人情報を見るときに、労働条件を十分に理解しないまま就職すると、トラブルの遠因を背負い込むことになります。
就職の時に、しっかり労働条件を確認し、就職の後、会社も労働条件を守っていたとして、数年経過して、その条件を変えようとすることがあります。
例えば、パートやアルバイトであれば時給を下げたり、あるいは、時間外の計算方法を変える、定年制を導入する、退職金の計算方法を変えるなどです。
これらの労働条件の変更は、建前の上では、使用者と労働者の合意が必要なのですが、労働者の立場の弱さ、あるいは無知などもあり、一方的に変更されるケースもありますし、裁判などの紛争も多く見られます。

黙認も合意だが

労働契約の変更では、多くの問題や紛争があります。合意が不可欠とは言いながら、実際には、Noということがかなり難しいのが現実でしょう。そして黙認していれば、合意とみなされることになります。
しかし、黙認するという行動を労働者がとるにあたって、労働者に明確な判断をさせるためには、十分かつ適切な情報提供や説明を、使用者に義務付けるべきという判例も裁判所では示されています。
駸々堂事件では、使用者が時給の減額を行いました。労働者は黙認したとしていましたが、ここで使用者が、時給を減額しても解雇しない(できない)という情報を、労働者に十分与えていなかったため、動機の錯誤(民法93条)に陥ったから黙認したとして、この合意は無効であるとされています。医療でいうところのインフォームドコンセントの法理がもちこまれた判決とされています。
一方、その後、使用者は、変更解約告知をするようになりました。スカンジナビア航空事件では、使用者が、労働条件の変更を提案し、これを受諾しない場合は解雇するという通知を出しました。
労働条件の変更は、双方の合意が必要であるという理想や理念がハッキリしているのですが、実質は、使用者による一方的通知になりがちなのが現実です。
こういうった立場の弱さを補うのが、団結権の保証であったり、労働協約の優先であったりするのですが、今日、団結し組合を作ることができているという時点で、その職場はかなり恵まれているともいえるでしょう。